不育症

不育症・習慣流産について

流産とは(妊娠22週未満の娩出)

  • 臨床的流産: 超音波検査で胎のう(妊娠性のふくろ)を確認できる。
  • 化学流産: 妊娠反応が出てすぐに消失する。
    (妊娠の60%にみられるとの報告もあり、流産には含めない)

流産というのは決して病的なものではありません。
誰でも一度妊娠すると約15〜20%の率で流産を経験すると言われています。
流産率は女性の年齢とともに増加し、35歳で約20%、40歳で約40%、42歳で約50%と報告されています。流産の理由の60~80%以上は胎児に染色体異常があるといわれ、胎児の自然淘汰で偶発的なものです。

流産

不育症・習慣流産とは

  • 習慣流産:3回以上連続する流産(不育症に含まれる)0.9%程度
  • 反復流産:2回以上連続する流産(不育症に含まれる)4.2%程度

特に3回以上流産を繰り返す習慣流産の場合は運が悪かったと片付ける前に、何か流産を起こしやすい原因があるのではないか検査する必要があります。
また、妊娠中期以降の子宮内胎児死亡は珍しく、この場合は一回でもその原因を検査する必要があります。 このように妊娠初期流産を3回以上繰り返す習慣流産や、妊娠中期以降の胎児死亡が一度でもあれば不育症を疑い、原因を調べることをお勧めします。

不育症のリスク因子と治療

不育症のリスク因子はいくつかわかっていますが、約60%のカップルは検査をしてもリスク因子がはっきりとわかりません。
多くの場合、偶発的な流産の繰り返しであり、特別な治療を必要としないこともあります。
治療を必要としなかった方も含め、不育症外来を受診した方の、約80%以上が最終的には出産に至るという報告があります。

1.子宮形態異常 7.8%

中隔子宮や双角子宮などの、先天的な子宮形態異常がある場合には、流・早産を繰り返すことがあります。
子宮形態異常の種類や程度によって子宮形成術が行われます。 ただし、手術を施行しなくても78%の患者さんが出産できると報告されています。

2.甲状腺異常 6.8%

甲状腺の機能異常や糖尿病による血糖の高値などが流産に関連していると報告されています。
薬物療法を行います。

3.両親のどちらかの染色体異常 4.6%

カップルのいずれかの染色体に異常があった場合、流産することがあります。染色体の一部が入れ替わるなどの相互転座・ロバートソン転座があります。
有効な治療法はありませんが、毎回必ず流産すると決まっているわけではありません。
累積生児獲得率は70~80%程度で正常群と変わらないと報告されています。

4.抗リン脂質抗体症候群 10.2%

自己免疫異常の一つで、流産や死産との関係が知られています。
抗リン脂質抗体があると血栓ができやすく、さらに胎盤のもとになる絨毛の増殖を阻害するため流産を引き起こすと考えられています。
抗リン脂質抗体は感染症など一時的に陽性となることがあるために、12週以上陽性が持続したら抗リン脂質抗体症候群と診断することが国際学会によって定められています。
12週間後の再検査で陽性となり診断基準を満たす抗リン脂質抗体症候群は5%未満の頻度であり、本物の抗リン脂質抗体症候群の患者さんはさほど多いわけではありません。
低用量アスピリン・ヘパリン療法が標準的治療法であり、生児獲得率は70-80%と報告されています。

5.第XII因子欠乏症 7.2%

第XII因子の低下が反復流産のリスク因子と考えられていますが詳細は不明です。

6.プロテインS欠乏症 7.4%
7.プロテインC欠乏症 0.2%

以前は血栓性素因であるプロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症などが流産の発症に関係していると考えられてきました。
最近の報告では、血栓性素因であるプロテインC、プロテインS、アンチトロンビンについては低下症例も正常例もその後の流産率に差を認めませんでした。

8.偶発的流産・リスク因子不明 65.3%
不育症グラフ