卵子凍結

卵子凍結とは

「卵子の老化」は働き盛りの30歳頃から緩やかに始まります。
35歳頃になると加速し、38歳頃からさらに急激に進みます。
卵子が老化すると、染色体の不分離が生じやすくなるだけでなく流産率も上がり、結果的に出産率が激減します。
仕事やパートナーなどの都合で産む準備が整わないまま、卵子と共に年を重ねていき子供を産みづらくなります(「社会性不妊」といいます)。
また、20~30 代で好発する女性特有の癌の治療によっても妊娠する能力は低下します(「医原性不妊」といいます)。

妊孕力

「卵子凍結保存」とは、このような「社会性不妊」や「医原性不妊」を回避・予防するために、できる限り若く、流産しにくい卵子を体外に凍結保存しておくことにより、将来の妊娠に備えることができます。
当院は不妊治療専門のクリニックです。
高度生殖補助医療(ART)の中で培った凍結技術を持ち、長期に渡る凍結卵の保存管理が可能です。
将来の妊娠に備えて、今できる準備をお考えの方は、一度ご相談ください。

卵子凍結保存の流れ

39歳以下の方

  • STEP1初診時に診察が必要です。
    もちろんカウンセリングのみでも結構ですので、お気軽にご相談ください。
    診察は、内診検査・超音波検査・基本の採血検査を行います。
  • STEP22週間程度で結果が出ますので、その結果に基づいて排卵誘発の方針を決定します。
  • STEP3採卵を希望する月経周期の3日目から誘発を開始します。
  • STEP410~14日後で採卵です。採卵した当日に成熟卵のみを凍結します。
    ※トータルでかかる費用はおよそ40万円からですが、採卵・凍結個数によって費用が異なります。

40歳以上の方

原則39歳以下の方が対象ですが、まずはカウンセリングを行いますので、お気軽にご相談ください。

年齢制限について

原則として、39歳以下の女性が対象です。
40歳以上の女性は現時点の卵子の能力(出産率の低さ)、赤ちゃんが得られない可能性の方が高い現状をご理解いただき、併せて「超」高齢出産のリスクも考えていただき、当院で卵子保存をお受けできるか、慎重に検討いたします。

卵子凍結における将来の妊娠率

採取された卵子のうち成熟卵のみが凍結保存(急速ガラス化法)が可能です。
急速ガラス化法での卵子凍結保存は、凍結によって卵子の受精率や妊娠率が下がらないこと(凍結しない新鮮な卵子と同等であること ※注1)が証明され、国際学会でも多施設から報告されています
※注1 ただし年齢(卵子を採取した時点での年齢)により受精率、妊娠率に差があります。

卵子解凍後に卵子の生存を確認したうえ受精(顕微授精)し、
受精卵が良好な場合の1個当たりの妊娠率
30歳以下 35%程度
31-34歳 30%程度
35-37歳 25%程度
38-39歳 20%程度
40歳以上 15%以下
凍結融解未受精卵を用いた治療成績〔2014年〕日本産科婦人科学会
移植あたり妊娠率 19.3%
妊娠あたり流産率 23.8%

採卵について

体外受精においての成熟卵を卵巣から針を使って採取することを採卵と呼び、受精させずに凍結保存するのが、未受精卵凍結保存(卵子凍結)にあたります。
【高度生殖医療】ページの採卵の流れを参照下さい。

卵子を使用する場合

未受精卵を将来使用する場合には、凍結していた卵子を融解し、精子と顕微授精が必要となります。
その後顕微授精によって出来た胚を子宮に戻す「移植」を行う必要があります。

いつまで保存可能か

採卵より1年単位で更新手続きが必要です。
未受精卵の保存管理は原則として満50歳の誕生日までとします。

採卵までのスケジュール・排卵誘発について

排卵誘発の方法は、診療を受けられる方の状態により少しずつ異なりますが、ここでは一般的によく用いられている方法についてご説明いたします。

1.ロング法

治療周期の前の周期に、必ず準備の周期(前周期)が必要です。
ロング法に向いている人は?

  • 年齢が若く卵巣機能に問題のない方
  • 採卵日のコントロールが必要な方
  • 多くの採卵数を希望し、多くの卵子を凍結したい方

採卵個数はおおむね6~15個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります。

採卵の実験の方法
2.ショート法

ショート法に向いている人は?

  • 卵巣機能が軽度低下していて、強い刺激が必要な方
  • 他の方法で発育卵胞数が少なかった方
  • ある程度卵巣予備能の保たれている大多数の方

採卵個数はおおむね3~10個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります。

3.アンタゴニスト法

アンタゴニスト法に向いている人は?

  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)で卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい方
  • 他の方法で反復不成功例がある方

採卵個数はおおむね5~10個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります。

4.クロミッド+HMG法

クロミッド+HMG法に向いている人は?

  • 多く注射をしても卵胞があまり育たない方
  • 過去の採卵で未成熟卵が多い方
  • 希望者
  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)で卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい方

採卵個数はおおむね3~10個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります。

5.自然周期

自然周期に向いている人は?

  • 41~43歳以上の方
  • AMH低値などの卵巣予備能が低下している方
  • FSHが20以上など高値の方
  • 希望者

採卵個数は1~2個です。

6.クロミッド法

クロミッド法に向いている人は?

  • なるべく自然な方法を希望するができれば1個以上は取りたい方
  • 卵巣の機能が低下している方

採卵個数はおおむね2~5個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります。

7.フェマーラ法

フェマーラ法に向いている人は?

  • 卵巣の機能が低下している方
  • クロミフェンでの発育不良例
  • 乳がんの既往

採卵個数はおおむね1~3個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります

採卵におけるリスクについて

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

女性の卵巣は親指大ほど(3~4 cm)の臓器ですが、排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水がたまるなどの症状が起こることを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。
重症例では、腎不全や血栓症など様々な合併症を引き起こすことがあります。
生殖補助医療における調節卵巣刺激症例においては5%程度発現し、重症例においては血栓症、肺水腫などによる死亡例がみられます。

卵巣過剰刺激症候群
早期発見と早期対応のポイント

卵巣過剰刺激症候群は重症になると様々な合併症を来たし、とても危険な状態になる場合があるので、早期に発見して対応することが大切です。
採卵後に「おなかが張る」、「はき気がする」、「急に体重が増えた」、「尿量が少なくなる」などの症状に気がついた場合は、病院を受診して下さい。

腹腔内出血

採卵手術の際、卵胞を穿刺するため、おなかの中に多少の出血がみられます。
ほとんどはそのまま吸収されて消えてしまいますが、血管の損傷などがありますと出血多量となり、輸血が必要となり、開腹手術を必要とする可能性も否定できません。
ごくわずかながら危険性はあることをご留意ください。また、自宅に戻られてから腹痛、気分が悪い、目の前がまっくらになる、冷や汗をかく、などの症状がありましたらご連絡ください。

採卵の流れ

採卵事前準備から採卵までの流れは、「体外受精・採卵の流れ」ページでご確認ください。

未受精卵凍結保存について

採取された卵子のうち成熟卵のみが凍結保存(急速ガラス化法)が可能です。
急速ガラス化法での卵子凍結保存は、凍結によって卵子の受精率や妊娠率が下がらないこと(凍結しない新鮮な卵子と同等であること 注※2)が証明され、国際学会でも多施設から報告されています。
注※2 ただし年齢(卵子を採取した時点での年齢)により受精率、妊娠率に差があります。

凍結や融解時のリスク

融解後の卵子の生存率は40~70%程度と言われており、卵子の生存率およびその後の着床率を考慮すると1人出産するのに必要な卵子の数は、36歳以下の方であれば10~25個、37歳以上の方は30個以上です。40歳以上は50個以上、45歳以上は250個以上が必要です。

現在までに凍結・融解自体が、この方法で出生した児に特に影響を及ぼしたという報告はありません。しかし、凍結融解で出生した児の長期予後については、いまだ確定したものがありません。

未受精卵の融解方法について

未受精卵の融解方法は、急速融解法を用います。
液体窒素内から常温へ急速に移し、卵子の融解用に調整した培養液中で融解操作を行います。
受精方法は、顕微授精を行います。

ガラス化法による凍結融解

顕微授精・胚移植について

将来未受精卵を使用する場合、当然ですが精子が必要です。また、顕微授精を行う必要があります。治療希望の数か月前にご来院ください。
凍結卵を使用する時点で、再度詳しく説明いたしますが、凍結卵子融解、顕微授精、胚移植の費用が必要となります。
高度生殖医療の顕微授精・胚移植の項目を参照ください。

※未受精卵を将来融解(解凍)した場合に万一すべての卵子が変性し、受精に用いることが出来ないことも予想されますが、その場合にも費用は一切返金されません。

凍結保存管理期間について

  • 未受精卵の保存管理は原則として満50歳の誕生日までとします。
  • 採卵より1年単位で更新手続きが必要です。保存期間延長を希望される場合は、延長申込書および費用が必要です。更新手続き(同意書、費用)がない場合、「延長の意志なし」と判断します。
  • 更新手続きなどの意思確認のため必要ですので、住所、連絡先などを変更されたときにはお知らせください。
  • 保存期間中に下記のような状況になりますと廃棄の対象となります。
    ・凍結保存延長確認の連絡がつかず、回答なく3か月以上経過した場合
    ・本人が死亡した場合
    ・廃棄を希望した場合
  • 保存期間中に不可避な天災・事故などにより保存ができなくなった場合、補償はできかねますのでご了承ください。
  • 原則、凍結未受精卵の院外持ち出しは出来ませんが、事情によりご相談は可能です。
  • 万が一閉院する場合には、保存している卵子はご本人の意思を確認させていただき、他院への移送手続きをいたします。

最後に

この治療はこの説明書をよくお読みになり、未受精卵凍結に対して十分理解をし、かつ同意の得られた方に対してのみ実施いたします。
また、同意を得られた後でも、治療の中断は自由です。納得のいく治療をすることがとても大切です。
不安がある方、迷いがある方はどうぞ遠慮なくご相談ください。
尚、この説明書に書かれている内容は、当院の方針により予告なく変更することがございますので、あらかじめご了承ください。
大幅な改定があった場合は当院ホームページにてお知らせいたします。

卵子凍結 料金表

項目 詳細 料金
採卵 基本料金
(無麻酔は15,000円減額)
(土・日曜日以外は15,000円減額)
¥65,000
採卵1個につき
【基本料金+個数×20,000】
¥20,000
卵子凍結 基本料金 ¥30,000
クライオトップ1本につき
【基本料金+本数×15,000】
クライオトップ1本に3個まで
¥15,000
凍結更新料(12ヶ月) クライオトップ1本につき ¥15,000

採卵・卵子凍結の料金例

ショート法にて注射を9日間投与、採卵で15個の成熟卵が取れた場合 採卵まで
40万円程度
クライオトップ5本に卵子を凍結 凍結料
11万円程度
合計 51万円
1年毎の更新料 7万5千円
アンタゴニスト法にて注射を10日間投与(うちアンタゴニスト3回)
採卵で20個の成熟卵が取れた場合
採卵まで
52万円程度
クライオトップ7本に卵子を凍結 凍結料
14万円程度
合計 66万円
1年毎の更新料 10万5千円
低刺激法にて注射を3日間投与、採卵で10個の成熟卵が取れた場合 採卵まで
28万円程度
クライオトップ4本に卵子を凍結 凍結料
9万円程度
合計 37万円
1年毎の更新料 6万円