この記事でわかること
- 女性側・男性側で確認する主な検査
- 月経周期によって検査時期が変わる理由
- 初診から結果説明、その後の相談までの流れ
最初に知っておきたいこと
不妊検査は、どちらか一方だけでなく、必要に応じて女性側・男性側を同じ時期に確認します。
検査項目は年齢、妊娠を希望している期間、月経、既往歴などで異なります。結果から妊娠の可否を断定するのではなく、分かったこと・まだ分からないことを整理し、追加評価や今後の方針を相談します。
不妊検査とは
不妊検査は、排卵、子宮・卵管、卵巣予備能、精液所見など、妊娠成立に関わる要素を確認する診療の一部です。すべての人に同じ検査を一律に行うのではなく、問診と診察から必要な項目を選びます。
日本産科婦人科学会は、不妊の原因が女性側、男性側、双方にある場合に加え、検査をしても原因が分からない場合があると説明しています。そのため、検査は原因を一つに決める作業ではなく、次の相談に必要な情報を増やす過程と捉えることが大切です。
受診・検査を検討する目安
日本では、妊娠を望む男女が避妊をせずに性交していても1年間妊娠しない場合を不妊症としています。ただし、月経が不規則・無月経である、子宮内膜症や骨盤内感染・手術の既往があるなど、妊娠に影響しうる事情がある場合は、1年を待たずに相談が検討されます。
年齢や病歴、妊娠を希望する時期によって受診の考え方は変わります。「検査を受けるべきか迷っている」という段階でも、まず相談目的を伝え、受診時期を確認できます。
初診前に準備しておくこと
初診では、検査を選ぶ前提となる情報を整理します。最終月経日と普段の周期、服薬中の薬、過去の検査・治療歴をメモし、結果票やお薬手帳があれば持参できるようにします。紹介状や基礎体温表が必要かは予約時に確認してください。
- 妊娠を希望している期間と、希望する時期
- 月経周期、最終月経、月経痛や不正出血
- 妊娠・流産歴、婦人科・泌尿器科疾患、感染・手術歴
- 性交や射精に関する困りごと
- 服薬・サプリメント、アレルギー、生活・仕事上の曝露
- これまでの検査・治療歴と、相談したいこと
夫婦一緒に受診したほうがよいですか
同日に受診することが必須とは限りません。ただし、女性側と男性側の評価を同じ時期に進めると、双方の結果と希望を合わせて相談しやすくなります。パートナーが初診に同席できない場合は、病歴や過去の検査結果を分かる範囲で共有し、男性側の受診・精液検査の進め方を確認します。
女性側と男性側の検査を別々に完結させず、双方の病歴・結果・希望を合わせて次の評価を考えます。
女性側の主な検査
女性側では、排卵の状態、子宮・卵巣の形態、卵管通過性などを、月経周期と病歴に合わせて確認します。ここでは主な検査の例を紹介します。実際に行う検査は、診察所見や月経周期、これまでの検査歴などに応じて異なります。
- 診察・経腟超音波
- 子宮や卵巣の状態、卵胞の発育などを確認します。所見に応じて追加の画像検査等が検討されます。
- ホルモン・血液検査
- 排卵や月経に関係するホルモン等を目的と時期に応じて測定します。測定項目は一律ではありません。
- 子宮・卵管の検査
- 子宮卵管造影などで子宮腔や卵管通過性を確認します。病歴や疑われる病態により方法が変わります。
- 卵巣予備能の評価
- AMHや超音波所見などを、卵巣反応や卵胞の量的側面を考える材料として使うことがあります。
- 必要に応じた追加検査
- 子宮鏡、MRI、腹腔鏡などは、疑われる病態や初期検査の所見に応じて検討されます。
男性側の主な検査
男性側の初期評価では、生殖歴・既往歴等の確認と精液検査が基本になります。AUA/ASRMは、該当するカップルでは男女双方の評価を並行して始めることを示しています。
- 問診
- 妊娠に関する経過、泌尿器・精巣疾患、手術、服薬、発熱、性機能や射精、生活背景などを確認します。
- 精液検査
- 精液量、精子濃度、運動性、形態などを確認します。所見には変動があり、一つの数値だけで妊娠の可否を判断しません。
- 専門診療での追加評価
- 所見に応じて、男性生殖医療を扱う泌尿器科等で診察、超音波、血液・遺伝学的検査などが検討されます。
採取方法、禁欲期間、院内採取・持参の可否は医療機関ごとに異なります。予約前に受診先の案内を確認してください。
夫婦で整理しておきたい情報
検査結果だけでなく、妊娠を希望する時期や通院の希望も方針に関わります。受診前に結論を出す必要はありません。「決まっていること」と「まだ相談したいこと」を分けてメモしておくと、初診で優先順位を伝えやすくなります。
- いつ頃までに妊娠を希望しているか
- 検査や治療に対する希望・不安
- 通院できる曜日や、夫婦で受診できる時期
- 過去の検査結果をどこまで共有できるか
- 男性側の検査をどこで受けるか
月経周期によって検査時期が変わる理由
女性側の検査には、月経周期に合わせて行うものがあります。ホルモン値や卵胞、子宮内膜は周期の中で変化するため、確認したい目的に適した時期を選びます。検査目的により、月経開始後・排卵前後など実施時期が変わります。具体的な日と妊娠可能性の確認は受診先の指示に従います。
図は代表的な時期の整理です。周期の長さや検査目的で実施日は変わります。月経が始まったらいつ連絡するか、予約変更が必要な場合はどうするかを受診先に確認します。
検査が複数日に分かれるのはなぜですか
周期の異なる時点で確認する検査があり、初診当日にすべてを実施できないためです。検査の予約枠、結果が出るまでの時間、体調や既往歴に応じた順序も関係します。初診では、予定する検査、来院する時期、結果説明までのおおよその流れを確認します。
初診から結果説明までの流れ
初診で病歴と希望を共有したあと、当日にできる検査と別日に行う検査を整理します。月経周期や予約が必要な検査を組み合わせ、結果がそろった段階で女性側・男性側の情報を合わせて確認します。
結果説明では、異常の有無だけでなく、まだ評価できていないことと、追加検査が必要かを確認します。
検査結果だけでは判断できないこと
不妊検査を受けても、妊娠成立に関わるすべての過程を確認できるわけではありません。結果が基準範囲内でも妊娠まで時間がかかる場合があり、原因を特定できないこともあります。
- 自然妊娠できるか、いつ妊娠するか
- 卵子・精子の質を一つの検査で総合的に判断すること
- 受精、胚発育、着床までのすべての過程
- 検査で原因が見つからない場合の、見えない要因の有無
- 個人に合う治療方法や開始時期
結果説明後に考える選択肢
結果説明では、確認できたこと、まだ確認できていないこと、急いで対応を検討する所見があるかを整理します。そのうえで、年齢、妊娠を希望する期間、これまでの経過、本人・夫婦の希望を合わせ、次の相談を決めます。
結果説明で、分かったこと・未評価のこと・追加検査の要否を確認し、その後の相談先や選択肢を検討します。
費用と保険適用は何を確認すればよいですか
同じ名称の検査でも、実施目的、組み合わせ、受診する施設によって保険診療か自費診療かの扱いや費用が異なる場合があります。初診料、検査ごとの費用、再診・結果説明の費用、パートナーが別に受診する場合の費用を確認してください。追加検査へ進む前にも、概算と保険適用の扱いを受診先へ確認します。
よくある質問
夫婦で同じ日に受診する必要がありますか?
受診方法は医療機関によって異なります。男女双方の評価を同じ時期に進める意義はありますが、同日受診が必要かは予約前に確認してください。
初診の日にすべての検査ができますか?
月経周期や事前予約が必要な検査があるため、複数日に分けることがあります。初診時に検査計画を確認します。
月経中でも受診できますか?
相談や一部の検査が可能な場合がありますが、実施できる内容は受診日と目的で異なります。予約時に月経周期を伝えて確認してください。
検査結果が正常なら不妊ではありませんか?
検査で妊娠成立のすべてを確認できるわけではなく、原因が特定できない場合もあります。結果と経過を合わせて相談します。
精液検査は一度で判断できますか?
精液所見には変動があります。一度の結果をどう受け止めるか、再検査が必要かは受診先で確認してください。
参考文献
- 不妊症日本産科婦人科学会
- 検査・治療についてこども家庭庁
- Fertility evaluation of infertile womenAmerican Society for Reproductive Medicine
- Diagnosis and treatment of infertility in men, part IAUA / ASRM
- Investigation of fertility problems and management strategiesNICE NG257


