この記事でわかること
- 卵子凍結でできること・できないこと
- 年齢・AMH・パートナーの有無・妊娠を望む時期の4つの視点で考える整理のしかた
- 今すぐ妊活や不妊相談を考えたいケースと、迷ったときの最初の一歩
結論:「いつ妊娠を望むか」から考え、迷ったらまず検査で現状を知る
卵子凍結と今からの妊活は、どちらが正解というものではありません。考えるときの軸は、主に次の4つです。
- 年齢
- 卵巣の状態(AMHなど)
- パートナーの有無
- いつ頃妊娠を望むか
パートナーがいて、近いうちに妊娠を望んでいるなら、卵子凍結よりも先に、今から妊活を始めることや、検査・相談を受けることを考えるのが自然です。卵子凍結は、凍結した卵子を使うときにも体外受精などの治療が必要で、妊娠を約束するものでもないからです。
一方で、今はパートナーがいない、または数年は妊娠を考えられない事情がある場合には、卵子凍結は将来に向けた「選択肢の一つ」になります。
どちらを選ぶにしても、最初の一歩は同じです。AMH検査やプレコンセプションケアの検査で今の体の状態を知り、その結果をもとに医師と相談することです。
卵子凍結は、将来の妊娠・出産を約束するものではありません。日本産科婦人科学会も、ノンメディカルな卵子凍結について、妊娠・出産の成功率はまだそれほど高くないことや、妊娠の時期が高年齢になることで母体と赤ちゃんの双方へのリスクが高まることを知っておいてほしいとしています。
まず知っておきたい、年齢と妊娠のしやすさ
女性は生まれたときから一生分の卵子を持っていて、卵子が新しく作られることはありません(こども家庭庁)。年齢とともに卵子の数は減り、質も低下していきます。
日本産科婦人科学会は、女性は30歳を過ぎると妊娠する力(妊孕性:にんようせい)が低下し始め、35歳を過ぎるとその低下が加速すると説明しています。男性も、35歳を過ぎると精子の質が徐々に低下するといわれています。
また、妊娠を望んで避妊をせずに性交していても1年間妊娠しない場合を「不妊症」といいます。不妊の原因は、男性側と女性側でほぼ半々といわれています。妊活は女性だけで抱えるものではなく、二人で取り組むものです。
| 項目 | 押さえておきたいこと |
|---|---|
| 女性の卵子 | 生まれたときに一生分を持っていて、新しく作られることはない |
| 女性の妊孕性 | 30歳を過ぎると低下し始め、35歳を過ぎると低下が加速する |
| 男性の精子 | 35歳を過ぎると質が徐々に低下するといわれる |
| 不妊症の目安 | 避妊をせずに性交していても1年間妊娠しない場合 |
| 不妊の原因 | 男性側・女性側でほぼ半々といわれる |
卵子凍結でできること・できないこと
できること
卵子凍結は、採卵した卵子を凍結して保存しておく方法です。若いうちに凍結することで、凍結した時点の年齢の妊娠率を保つことが期待される、と説明されています(こども家庭庁)。パートナーがいない時期や、すぐには妊娠を考えられない時期に、将来の選択肢を残しておく方法の一つです。
できないこと・注意が必要なこと
- 将来の妊娠・出産を約束するものではない(東京都保健医療局のページでは、融解した卵子1個あたりの妊娠率は4.5〜12%とされています)
- 凍結卵子を使うときは、融解・受精・胚移植という体外受精の工程が必要になる
- 妊娠するときの年齢が上がることによる、妊娠合併症などのリスクは減らせない
- 採卵には通院や体への負担があり、リスクも伴う(後述)
- 費用は原則として自費で、保管料が毎年かかる
国立成育医療研究センターは、卵子凍結は「将来の妊娠を保証するもの」ではなく、「将来の選択肢を増やすための一つの方法」と考えることが適切だとしています。
| 卵子凍結 | 今から妊活(必要に応じて不妊治療) | |
|---|---|---|
| 目的 | 将来に備えて卵子を保存しておく | 今の時点での妊娠をめざす |
| 向きやすい状況 | パートナーがいない、すぐには妊娠を考えられない | パートナーがいて、近いうちに妊娠を望んでいる |
| 費用 | 原則自費。初期費用と毎年の保管料がかかる | 検査や治療の内容による。不妊治療は条件を満たせば保険適用 |
| 体への負担 | 排卵誘発と採卵が必要 | 治療の段階によって異なる |
| 注意点 | 妊娠を約束しない。使うときに体外受精が必要 | 1年妊娠しない場合や年齢によっては、早めの相談が大切 |
不妊治療の保険適用については、不妊治療の費用と保険適用|年齢・回数・自費診療の確認点で詳しく解説しています。
迷ったときの4つの視点
1. 年齢
年齢は、卵子の数と質の両方に関わる大きな要素です。国立成育医療研究センターは、卵子凍結について「明確な年齢の答えはありません」としたうえで、30歳代後半から年齢による変化に注意していく必要があるとしています。
なお、東京都の卵子凍結の助成は、採卵日の年齢が18〜39歳の方が対象です。
2. AMH(卵巣の状態)
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣に残っている卵子の数の目安になる血液検査です。今の卵巣の状態を知る手がかりになります。
ただし、AMHは卵子の質を示すものではありません。こども家庭庁も、実際に妊娠するかどうかについては、AMH値よりも年齢や卵子の質がより重要だとしています。AMHの値だけで「妊娠できる・できない」とは判断できない点に注意しましょう。詳しくはAMH検査とは?分かること・分からないことと結果の見方で解説しています。
3. パートナーの有無
パートナーがいる場合は、卵子凍結よりも先に、二人で妊活や検査を始めることを考えてみましょう。不妊の原因は男女ほぼ半々といわれているため、女性だけでなく、男性の検査(精液検査など)も大切です。
パートナーがいない場合は、卵子凍結が選択肢の一つになります。将来、凍結卵子を使うときには、精子と受精させて体外受精を行う必要があることも知っておきましょう。
4. いつ頃妊娠を望むか
「1〜2年以内に妊娠したい」のか、「数年以上先になりそう」なのかで、考え方は変わります。近いうちに妊娠を望むなら、今から妊活を始め、必要に応じて早めに相談する方が、時間を有効に使えます。妊娠を考える時期が先で、そのときの年齢が気になる場合に、卵子凍結を検討する意味が出てきます。
| あなたの状況 | 考え方の例 |
|---|---|
| パートナーがいて、1〜2年以内に妊娠を望む | 今から妊活を始める。年齢や体の状態に不安があれば、早めに検査・相談を |
| パートナーがいて、妊娠は数年先に考えたい | 二人で検査を受けて今の状態を知り、妊娠を考える時期を医師と相談する |
| パートナーはいないが、将来は妊娠を望む | AMHなどで今の状態を知り、卵子凍結を選択肢の一つとして検討する |
| 30代後半で、妊娠の時期を迷っている | 年齢による変化に注意が必要な時期のため、早めに医師に相談する |
| 月経不順がある、子宮内膜症と言われたことがある | 妊活の時期にかかわらず、早めに婦人科で相談する |
今すぐ妊活・相談が向くケース、卵子凍結を検討しやすいケース
今すぐ妊活や不妊相談を考えたいケース
- 避妊をせずに1年たっても妊娠しない
- 排卵がない、子宮内膜症がある、過去に骨盤腹膜炎になったことがある(1年を待たずに検査や治療を始めた方が良いとされています)
- 月経不順など、排卵がきちんとあるか気になる症状がある
- パートナーがいて、近いうちに妊娠を望んでいる
- 年齢が気になっている(年齢が上がると、すぐに治療を始めた方が良い場合もあります)
- パートナーの精子の状態が気になる
当てはまる場合は、卵子凍結より先に、不妊外来での相談を考えてみてください。何から始めるかは不妊治療は何から始める?相談の目安と初診から方針決定まで、検査の内容は不妊検査は何を調べる?女性・男性の検査と受診の流れで解説しています。男性の検査については男性不妊についてもご覧ください。
卵子凍結を選択肢として検討しやすいケース
- 今はパートナーがいないが、将来は妊娠・出産を望んでいる
- 仕事や学業、健康上の理由などで、数年は妊娠を考えにくい
- 卵子凍結が妊娠を約束しないことや、費用・体への負担を理解したうえで検討したい
卵子凍結の方法や流れは卵子凍結とは?方法・費用と検討前に知っておきたいこと、費用の詳細は卵子凍結の費用はいくら?東京都の助成を使った場合の自己負担の目安で解説しています。
迷ったときの進め方:3つのステップ
- AMH検査やプレコンセプションケアの検査で、今の体の状態を知る
- 結果をもとに、卵子凍結・妊活・不妊治療のどれを考えるかを医師と相談する
- 方向性が決まったら、費用・助成・スケジュールを確認する
受けられる検査と費用の例
長谷川レディースクリニック淵野辺ソフィアの公式ページには、次のような検査が掲載されています(税込、2026年10月15日確認)。いずれも自由診療で、健康保険は使えません。
| 検査・プラン | 主な内容 | 掲載価格(税込) |
|---|---|---|
| AMH(単品) | 卵巣に残っている卵子の数の目安 | 6,820円 |
| 卵巣年齢チェック(ブライダルチェック) | 超音波、AMH、ホルモン検査 | 20,570円 |
| プレコンセプションケア ベーシックプラン | ホルモン採血、AMH、専門医の診察、栄養カウンセリング | 13,200円 |
| プレコンセプションケア 男性プラン | 性病検査、風疹抗体、精液検査 | 22,000円 |
| 精液検査セット(ブライダルチェック) | 精液検査(精密)、精液細菌チェック | 11,000円 |
東京都にお住まいの方は、「TOKYOプレコンゼミ」を受講すると、都の登録医療機関で受けるAMH検査などの費用について、女性・男性それぞれ上限3万円の助成を受けられる制度があります。助成を使う場合は、受診先が東京都の登録医療機関かどうかを事前に確認してください。制度の詳細は東京都・神奈川県で使える卵子凍結・妊活の支援まとめ(2026年度)で紹介しています。
卵子凍結を選ぶ場合に知っておきたいリスク
卵子凍結では、排卵誘発剤で複数の卵子を育て、腟から針を刺して卵子を採ります。主なリスクは次のとおりです。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS):排卵誘発剤によって卵巣が腫れ、おなかや胸に水がたまることがあります(重症になることはめったにないとされています)
- 出血:卵巣などから出血することがあり、ごくまれに輸血が必要になることもあります
- 感染:針を刺したところから細菌が入り、感染を起こすことがあります
- 周りの臓器の損傷:卵巣の近くの血管・膀胱・腸などを傷つけることがあります
- 麻酔:麻酔を使っても、痛みや不快感が出ることがあります
また、凍結卵子を使って高い年齢で妊娠・出産する場合は、妊娠合併症の発症率が高くなるとされています(こども家庭庁)。卵子凍結で卵子の年齢を保つことは期待できても、妊娠するときの体の年齢まで保てるわけではありません。
不安な点は、検査や相談の段階で医師に質問しておきましょう。
よくある質問
AMHが低いと、妊娠できないのですか?
AMHは卵巣に残っている卵子の数の目安で、卵子の質を示すものではありません。AMHの値だけで妊娠できるかどうかは決まらないため、結果は年齢やほかの検査とあわせて医師と一緒に確認しましょう。
パートナーがいても卵子凍結はできますか?
医療機関の方針や状況によります。ただ、近いうちに妊娠を望んでいるなら、卵子凍結より先に、二人で妊活や検査を始めることを考える方が自然です。迷っている場合は、二人で相談してみてください。
何歳までに決めればいいですか?
卵子凍結には「明確な年齢の答えはない」とされていますが、30歳代後半からは年齢による変化に注意が必要とされています。東京都の卵子凍結の助成は、採卵日の年齢が18〜39歳の方が対象です。迷っている間にも年齢は進むため、まずは検査で現状を知ることをおすすめします。
妊活を始めたばかりでも、不妊外来に相談していいですか?
はい。妊活を始める前や始めたばかりの段階でも、検査や相談は受けられます。長谷川レディースクリニック淵野辺ソフィアの案内では、プレコンセプションケアの検査も不妊外来の枠で予約する形になっています。
男性も検査を受けた方がいいですか?
不妊の原因は男女ほぼ半々といわれているため、男性の検査も大切です。長谷川レディースクリニック淵野辺ソフィアのプレコンセプションケアの男性プランは、男性だけでも受診できると案内されています。
参考
- 日本産科婦人科学会「不妊症」(2026年10月15日確認)
- 日本産科婦人科学会「正しく知って欲しい ノンメディカルな卵子の凍結」(PDF)(2026年10月15日確認)
- こども家庭庁「ライフデザインのために知ってほしい妊娠と年齢の関係とは?」(2026年10月15日確認)
- こども家庭庁「卵子凍結について|正しい知識Q&A」(2026年10月15日確認)
- 国立成育医療研究センター「卵子凍結は何歳まで?―妊孕性温存を考えるときに知っておきたいこと」(2026年10月15日確認)
- 東京都保健医療局「妊孕性温存について、どのようなことができますか?(女性の場合)」(2026年10月15日確認)
- 東京都福祉局「みんなで一緒に知りたい卵子凍結のこと(卵子凍結の手引)」(PDF)(2026年10月15日確認)
- 東京都福祉局「事業の概要|卵子凍結に係る費用の助成」(2026年10月15日確認)
- 東京都福祉局「プレコンセプションケア」(2026年10月15日確認)
- こども家庭庁「保険適用について|不妊のこと DICTIONARY」(2026年10月15日確認)
- 長谷川レディースクリニック淵野辺ソフィア「卵子凍結」(2026年10月15日確認)
- 長谷川レディースクリニック淵野辺ソフィア「プレコンセプションケア」(2026年10月15日確認)
- 長谷川レディースクリニック淵野辺ソフィア「ブライダルチェック」(2026年10月15日確認)


