卵子凍結

卵子凍結とは

体外に卵子を取り出して、凍結保存しておく技術を卵子凍結と呼びます。
日々作られる精子と違って、卵子は卵巣内で新しく作られることはありません。

原始卵胞の個数と年齢の対比グラフ

原始卵胞の数は、生まれたときがピークで200万個ほど存在し、年齢とともに減少していきます。35歳を超えると減少率は加速していきます。
さらに、卵子は単に卵巣内に保存されているだけで、加齢とともに老化し、その質は低下すると考えられています。
質が低下すると、その結果として受精しにくくなり、また受精がおこっても、細胞分裂の途中で成長が止まる割合も増えます。
卵子の老化により、染色体異常も起こりやすくなり、それは流産と関係しています。
このため、妊娠が成立したとしても、流産率が高くなり、結果的に出生率が激減します。
卵子凍結は、卵子の時を止めて、将来の妊娠に備えておくことができる手段です。

当院は不妊治療専門のクリニックですので、高度生殖補助医療(ART)の中で培った凍結技術を持ち、長期に渡る凍結卵の保存管理が可能です。
将来の妊娠に備えて、今できる準備をお考えの方は、一度ご相談ください。

卵子凍結保存の流れ

39歳以下の方

診察・採血
初診時に診察が必要です。もちろんカウンセリングのみでも結構ですので、お気軽にご相談ください。
診察は、内診検査・超音波検査・基本の採血検査を行います。
方針決定
2週間程度で結果が出ますので、その結果に基づいて排卵誘発の方針を決定します。
排卵誘発
採卵を希望する月経周期の3日目から誘発を開始します。
卵子凍結
10~14日後で採卵です。採卵した当日に成熟卵のみを凍結します。 ※トータルでかかる費用はおよそ40万円からですが、採卵・凍結個数によって費用が異なります。

40歳以上の方

原則39歳以下の方が対象ですが、まずはカウンセリングを行いますので、お気軽にご相談ください。

年齢制限について

原則として、39歳以下の女性が対象です。
40歳以上の女性は現時点の卵子の能力(出産率の低さ)、赤ちゃんが得られない可能性の方が高い現状をご理解いただき、併せて「超」高齢出産のリスクも考えていただき、当院で卵子保存をお受けできるか、慎重に検討いたします。

出産に必要な卵子の個数は?

ひとり出産するのに必要な成熟卵の数を、年齢別の妊娠率と流産率から考えました。凍結卵の融解後の生存率は70%と仮定して、計算しました。

  • 36歳は20個程度
  • 38歳は30個程度
  • 40歳は40個程度
  • 42歳は70個程度
  • 45歳以上250個以上

対象年齢である38歳の方でも、成熟卵30個を採卵し凍結するには、複数の月経周期に分けて採卵を行う必要性があるため、数か月はかかります。それ以上採卵個数が必要な場合は、現実的ではないと言えます。
採卵しなければならない卵子の個数が、年齢に応じて多くなるのは、裏を返せば、卵子の質が低下しているということに他なりません。
卵子が老化すると染色体異常が起こりやすくなります。
以上のことからも、日本生殖医学会では、未受精卵子を採取する年齢は、40歳以上は推奨できないとしています。
また卵子を凍結したからといって、将来使用する年齢において、高齢出産自体のリスクはなくならないため、できる限り早めに妊娠のプランを立てることをお勧めします。

高齢出産のリスク

加齢により、妊娠に対する予備能力は低下するため、妊娠の経過中には、産科合併症の率が増加します。(例、妊娠高血圧症候群や、妊娠糖尿病など)
合併症の進行を止められず、やむを得ず早産で出産したり、帝王切開術による分娩に移行せざるをえなかったりします。
赤ちゃんの発育が悪くなる場合もあります。
赤ちゃんの染色体異常の頻度が上昇します。(卵子を採取した年齢によります)
また若い女性に比べて、すでに子宮筋腫などの婦人科疾患を合併している割合も多く、流産や早産の危険性が高くなります。分娩の際も難産になりやすく、出血量が多くなる場合があり、帝王切開率の上昇につながります。

卵子凍結における将来の妊娠率

採取された卵子のうち成熟卵のみが凍結保存(急速ガラス化法)が可能です。
急速ガラス化法での卵子凍結保存は、凍結によって卵子の受精率や妊娠率が下がらないこと(凍結しない新鮮な卵子と同等であること ※注1)が証明され、国際学会でも多施設から報告されています

※注1 ただし年齢(卵子を採取した時点での年齢)により受精率、妊娠率に差があります。
凍結融解未受精卵を用いた治療成績〔2015年〕日本産科婦人科学会
移植あたり妊娠率 11.1%
妊娠あたり流産率 26.7%

採卵について

体外受精においての成熟卵を卵巣から針を使って採取することを採卵と呼び、受精させずに凍結保存するのが、未受精卵凍結保存(卵子凍結)にあたります。

費用について

「各種費用のページ」をご覧ください。

卵子を使用する場合

未受精卵を将来使用する場合には、凍結していた卵子を融解し、精子と顕微授精が必要となります。
その後顕微授精によって出来た胚を子宮に戻す「移植」を行う必要があります。

卵子凍結ができる期間

採卵より1年単位で更新手続きが必要です。
未受精卵の保存管理は原則として満50歳の誕生日までとします。

採卵までのスケジュール・排卵誘発について

排卵誘発の方法は、診療を受けられる方の状態により少しずつ異なりますが、ここでは一般的によく用いられている、アンタゴニスト法をご説明します。図を参照してください。
採卵個数はおおむね5~10個程度ですが、年齢や卵巣機能によって個人差があります。

スケジュール(アンタゴニスト法)
アンタゴニスト法

月経周期を基準に考えてください。
月経開始3日目前後にエコーとホルモン採血を行います。結果が出るまで1時間ほどお待ちください。連日注射を行いますが、自己注射なら、注射のたびに受診する必要がありません。
月経開始からおよそ2週間後の採卵日までに、図のように計3回の診察で済むことがほとんどです。上記の図は、あくまで例ですので、診察の日程は多少調節が可能です。
毎回採血結果が出るまで1時間ほどかかりますが、3回ほどの受診ですので、働きながらでも、通院は十分可能です。
採卵日の予定も調節することが可能ですので、診察時にご相談ください。

採卵におけるリスクについて

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣が腫れて、お腹や胸に水がたまるなどの症状が起こることを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。
代表的な副作用です。
生殖補助医療における調節卵巣刺激症例においては5%程度発現し、重症例においては血栓症、肺水腫などによる死亡例がみられます。
重症の場合は入院管理が必要ですが、そうならないように、もしくはなっても軽症で済むような刺激方法や対処を行っていきます。

早期発見と早期対応のポイント

卵巣過剰刺激症候群は重症になると様々な合併症を来たし、とても危険な状態になる場合があるので、早期に発見して対応することが大切です。
採卵後に「おなかが張る」、「はき気がする」、「急に体重が増えた」、「尿量が少なくなる」などの症状に気がついた場合は、病院を受診して下さい。

腹腔内出血

採卵手術の際、卵胞を穿刺するため、おなかの中に多少の出血がみられます。
ほとんどはそのまま吸収されて消えてしまいますが、血管の損傷などがありますと出血多量となり、輸血が必要となり、開腹手術を必要とする可能性も否定できません。
ごくわずかながら危険性はあることをご留意ください。また、自宅に戻られてから腹痛、気分が悪い、目の前がまっくらになる、冷や汗をかく、などの症状がありましたらご連絡ください。

採卵の流れ

採卵事前準備から採卵までの流れは、採卵の流れページでご確認ください。

未受精卵の凍結と融解方法について

採取された卵子のうち、成熟卵のみ凍結保存が可能です。
当院では、最もダメージが少ない急速凍結法(ガラス化法)を用いています。
凍結保護剤に浸漬したのち、液体窒素に投入し、急速に凍結を行う方法です。
急速凍結法(ガラス化法)での卵子凍結保存について、新鮮卵子(凍結しない新鮮な卵子)との比較では、受精率・出産率がほぼ同等であることが証明され、国際学会でも多施設から報告されています。
また、将来未受精卵を使用する場合、融解(解凍)する必要があります。融解方法は、急速融解法を用います。
液体窒素内から37度に加温しておいた融解液で急速に融解し、調整した希釈剤の中で、融解操作を行います。

凍結や融解時のリスク

精子と受精した受精卵は分割を進めて胚になります。
その胚の凍結・融解において、最もダメージが少ない急速凍結法(ガラス化法)を用いた場合、融解後の生存率は90%以上と、非常に高い生存率が確認されています。
しかし、未受精卵の場合、急速凍結法(ガラス化法)を用いてはいるものの、胚に比べ細胞質の水分量が多いため、融解後の生存率は低くなります。さらに卵子の質にも左右されるため、融解後の卵子の生存率は40~70%程度と言われています。
胚で凍結する場合よりも、融解後のロスが多いため、その分多くの卵子を凍結しておく必要があります。
また、現在までに生殖補助医療において、凍結・融解の操作により、出生した児に特に影響を及ぼしたという報告はありません。しかし、凍結・融解で出生した児の長期予後については、いまだ確定したものがありません。

顕微授精・胚移植について

将来未受精卵を使用する場合、当然ですが精子が必要です。また、顕微授精を行う必要があります。治療希望の数か月前にご来院ください。
凍結卵を使用する時点で、再度詳しく説明いたしますが、凍結卵子融解、顕微授精、胚移植の費用が必要となります。

※未受精卵を将来融解(解凍)した場合に万一すべての卵子が変性し、受精に用いることが出来ないことも予想されますが、その場合にも費用は一切返金されません。

凍結保存管理期間について

「凍結保存期間・更新手続きについて」ページでご確認ください。

最後に

この治療はこの説明書をよくお読みになり、未受精卵凍結に対して十分理解をし、かつ同意の得られた方に対してのみ実施いたします。
また、同意を得られた後でも、治療の中断は自由です。納得のいく治療をすることがとても大切です。
不安がある方、迷いがある方はどうぞ遠慮なくご相談ください。
尚、この説明書に書かれている内容は、当院の方針により予告なく変更することがございますので、あらかじめご了承ください。
大幅な改定があった場合は当院ホームページにてお知らせいたします。

当院では、24時間可能のインターネット診察予約を行っております。
ご希望の受診日時の空いている枠にご予約下さい。
※当日予約は行っておりません。直接ご来院ください。

明日以降の空いている時間に予約が可能です。24時間受付中。
インターネット予約

なお初診患者様の、最終ご予約時間枠は平日17:00~17:30、土曜日は15:00~15:30となっております。
ご来院の際は、以下の物をお持ちください。

  • 保険証
  • 紹介状(なければお持ちにならなくても結構です)
  • 基礎体温表(つけていなければお持ちにならなくても結構です)
  • 他院での検査データ(あればお持ちください。感染症結果は実施日から半年間は有効です。以降は当院での再検査が必要です。)

診療時間のご案内

Reception
  • 【受付時間】
    午前10:00~12:30、午後14:30~18:30

  • 【土曜日受付時間】
    午前10:00~12:30、午後14:30~16:30

診療時間
10:00~13:00 × × ×
14:30~19:00
※土曜は17:00まで
× × ×
診療時間
10:00~13:00
×
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診療時間
14:30~19:00
※土曜は17:00まで
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不妊相談・不妊治療について、卵子凍結希望の初診受付は、平日18:00まで、土曜日は16:00までとなっております。
ご注意ください。